ぃトン詩 集 vol.4_3(31〜45)

『てにてのび』


*ボクが心を込めて描いた大切なモノたちなので
 無断で連れて帰らないでくださいねm(__)m

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31.『夢つなぎ。』

夢の余韻が、
今の現つに滑り来る時、

ボクの「みち」は拓く。


袋小路の節穴に、
未知の道が開く。


そこから吹いて来る匂いが、
あの頃の自分に馳せる。


たじろぎも戸惑いもなく、
足が出る。


きっと、

二の足なんて
踏んで来なかった。


遠回りはしただろう。

道はそれを企てた
幾多の昇りを立てている。

だから拾えた粒も多い。


さらに言おうか?


この世界にムダなものなど、
ひとつもなく、


この世界にムダな出会いも愛も、

ありえはしない。


空に立つ波、
海に立つ雲。


ヒトとしての自分に出来る、
色鮮やかな旋律。


夢をつなぐ職人。


不思議に身をおく子供。


失禁しても、
笑顔広げる老人に、


ボクはなる。


〜2008.10.09〜


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32.『「超」新約聖書。』

気にいろあり。
たずさえる言の端、
空間にまぎれ。


拾える木の実
拾えぬ気の実。


表情の語る言の端、
刹那にかき消えて。


残るこの、
ざわつき。


文字は契約、ありがたきかな。

クチつく言の端は不確か、
なお、
ありがたきかな。


忘れえぬ言の端、
次をさぐる手立てにて、


その重さ、
世界にたぐいなし。



ただ見つむ。

空の行方。


枕なきしとね。


指先が辿る、
その先に応え。


いたけなき逆子の、
正当な主張。

誰も実間違うな。



この子はキリストだ。


〜2008.10.10〜


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33.『タテガミ。』

檻馳せるジャングル。
沈みかけの赤い炎円。

吠える野性に、
クロく張りのある肢体。

派手にて厳粛な、
祈りのノド歌。

闇への反響。


虎視眈々と狙う藪から、
原色の地ヒルのむらがり。

出てすぐに乾く汗。
艶めかしい性欲。

皮を剥いで食べる。


足ウラに走る刺激、
脳天から突き出す芽。

網膜に映るオレンジの弓。

たたみかけるタイコ。
手から滲む血のピンク。
隆々としたミドリの筋肉。

激しく、激しく!
気高く、冴えて!


ほとばしる灼熱。
肩腕での呼吸。


いたぞ、ここに!

自分の中の獣の王が!


〜2008.10.11〜


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34.『タ、テ、ガ、ミ。』

バターつきトーストの
あまい匂いを、

わしづかみにして、
投げ放て。

叩きつけられた地面に、
やがて蟻が群がればいい。

土砂降りにカキムシル髪に、
暴れ跳ねる雨足。


そこに自分の野性が宿る。

筋肉は刻々と隆起し、
うず巻くグリコーゲンに、

讃えるチカラが唸る。


根こそぎつかんだら、
引きちぎり、むさぼり食え。


たくわえる血肉で、
足元を、かためろ。


やがて空が乾き、
この世界に
虚ろな活気が蔓延し始める。

その狂喜を嘆くなら、


あの虹を
すべて飲み込んで、


世界にバラ撒くひとりになれ。


〜2008.10.11〜


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35.『雄たけびーotakebi-。』

遠くはるかに馳せる海馬。
映るオレンジの記憶の残像。
悪寒ともなう鳥肌。

この血をめぐり
肉と骨をたずさえ、
チカラに愛を注ぐ、

秘められた野人の唸り。
仕組まれた雌猫のしなり。

たどたどしい幼児の自慰が、
熟した肉体の融合を超えて、
先へと自我を編んでゆく。


巷に乱立するビルの群がり。
クラクションのいらつく
幹線アスファルト。


よどんだガスは、
空へと抜ける途を見間違い、
路面と靴と肺に毒を吐く。

これでこそ、
病んだすべての条件の提案。


ゆっくりと
立つ獅子のタテガミ。


誰を責めるでもなく、
何におもねるのでもない、

堂々とした自然の派権。

遅すぎるくらいの
時期が来た。


世界よ、
この雄叫びを聞け。


〜2008.10.12〜


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36.『雷音。』

闊歩しだしたライオンは、
目的をあやまることもない。

ただ真っすぐに、
大地を進む。

リン酸の腐臭。
ビニールのからまり。
コンクリートから突き出る鉄筋。

銀紙はかさつき、
ペットボトルは尿を孕む。

最先端の文明は、
いまだにヨコ文字に縛られ、
自我を袋に詰めて異臭を放つ。

地平線の輪郭は、
コンクリの墓石の稜線。

尾根にたけくカラスの夜伽。


反吐で成り立つ彫刻が、
芸術だと言い張る通り魔。

官検の棍棒はコンニャクで、
したためた銃は萎えた男根か?


その中で、
ゆっくりと足踏むタテガミを、

口角泡飛ばす威力もなく、
保身に腐心は錯覚のいちぢく。


笑え。
互いの手足、胸、顔。


奇天烈な生きものが、
二本足だけでふらつき、

これぞ世界遺産と
ノーベル賞。


見つめられたら、
固まる言い訳、

産まれた光を忘れた瞳。


濁った網膜に、
獅子の姿は映るまい。


知れ。
すでに首を噛まれた死体で、
頭だけで呼吸している事実を。


それでも、
ボクらはみんな、生きている。


〜2008.10.12〜


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37.『戦い。』

戦うとは、

相手にこぶしを挙げることではなく、

相手を口汚く罵ることでもない。


相手に自分を届けることだ。



勇気をもって、

届けるために、

一歩踏み出す。


そこに「理解」の風が吹く。


殴るのは自分の重たい心、

罵倒はいらない。

自分を励ます勇気には、
惜しみなく礼賛のコトバを。


届けるコトバにも、
視線にもしぐさにも、


嘘が入るはずがない。



こんな簡単なことが、

みんな出来ないだけの話だ。


〜2008.10.15〜


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38.『噛めぬ砂。』

強い風に騒ぐ魂には、
重い海のうねりがある。

すべるように先急ぐ雲海も、
深く彩られた感情の発露。

とてつもないエネルギーは、
遺伝のつつみこみの中で、
脈うちながら時を待つ。


いつ、名乗りをあげようか?


やみくもに沸き立つ熱情が、
自分の周囲をけがさない、
その配慮の限界をさぐりながら、
臨界に達する寸前に、

沸騰石の世話役はいらない。


あたりまえのように
訪れる朝。

あたりまえのように
芽を出す草木。

あたりまえのように
とりおこなわれる
生殖と自己複製の妙技。


終(つい)えぬ繰り返しには、
ぴたりと重なる符号はないのに、


らせんのルールは
まがいもない等式で、
黄金比に近づく。


血とは何だ?
細胞壁を欠いた生きものの
言い訳の名残なのか?


われわれに必要な微量の金属も、

無機物に戻る際のてがかりで、
最たる信仰の教典なのか?


血の砂漠化が、
この世界の幸福の鍵ならば、

われわれの呼吸ほど、
無駄で美しいものはない。 


〜2008.10.29〜


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39.『闇の真意。』

夜の闇に線をひく。

素手でなめらかに引かれた
その線から、
秘密の蜜がにじみ、

ぽっとりと平坦な銅版にたれる。


そこから、立ち上る白い勇気は、

羽虫と化して、
らせんから、
たなびきへと代わり、

やがて過失に紛れて消える。

思い出は後悔と自棄の力を借りて

なな色の虹として、
また闇に色をつける。


曲線にこめられた美学。

それは、
この世界には、
観念以外の直線が
存在しない悲しみの反映。

見紛うな。

形のないやさしさこそが、
この世界の宝で、

コトバにならない
奥底の想いこそが、

われわれをつき動かす
熱の本流であることを。


闇に放たれた
無音の慟哭だけが、

生き残る真意であることも。


〜2008.10.31〜


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40.『曇天の向こうの月。』

細く鋭敏な月麟の先端。

そぎ落とした肉体の重さに、
ぶらさがる自分のかけら。

洗練のしづく。


先に果てたまがいものの落胤。


弓張り月にあてがう自分が、
いなかっただけだ。



音のないか細い吸い口に、
吸いつく夜光虫の喜劇から、
吸血の悲劇が
幕間をあげただけのこと。

反問する門番を
かすめて入り込んだ中敷きに、
滲む鮮血に含まれた精液は、
鱗(うろこ)と化して、
おのれを笑う。


イワンの馬鹿の証明が
キリストを認知もせずに、
突き放し、


時計台の残像の闇に
黒い蟻が入り込み、
夜ごとに白い弾色を咀(は)む。


産まれたての赤子は透明で、
その不思議さを誇りもせずに、
金色の笑顔を向ける。


この世界じたいを
頼りきることの
意味を知れ。


ただやみくもに、
のたうちまわるだけが、
獅子の勇気ではないはずた。


曇天をかすめて
切り裂く稲妻のほまれは、

ただの空吠えの確率の方が
多いのがこの世界のことわり。


自分の中の赤子を呼び起こし、
新たに金色の弓を持て。


〜2008.1103〜


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41.『Who can it stand by us ?』

いったい誰が、
自分にいちばん
寄り添っているのか?


自分だ。


自分のために、
まわりを気遣い、

まわりの益をつくり、
自分に還元してゆく作業を
繰り返しながら、


自分は何だ?
自分は何がしたいのか?

そう、
絶えず思い悩み、
まわりの人々にやさしくし、
まわりの人々のやさしさに
感謝しながら、


もっとやさしくしてもらいたい、
だから自分もやさしくしようと、


自分を見逃してきた?


もうそろそろ、気づこう。

自分が笑えば、
いちばん喜ぶのは誰か?

自分が泣けば、
いちばん悲しむのは誰なのか?


こんなに近くにいるから、

いや、近いのではなく、
同じ位置にいるから、
ないがしろになる自分に。

自分に気づこう。

自分が見つめてくれるから、
自分のために行動しよう。

自分が聞いてくれるから、
自分のために話そう。


自分がうなづいてくれるから、
自分のために歩いていこう。


それから、

自分がわかってくれているから、

相手の自分に気づきながら、

相手の自分に
自分の自分を紹介しながら、
生きていこう。


〜2008.1106〜


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42.『突き出す痛み。』

どんなに身を削いで
コトバをつなげても、
声にはかなわない。

空気を介して、
肉体の内からこみあげる
声というシワザには、
鬼気が宿る。

作られた声になら、
真意のあるコトバは勝てるが、

こみあげてくる声には、
決して勝てるコトバなどない。

肉筆は声に近づくが、
コトバで唸りや嗚咽や、
笑い声の響きを、

直接伝えることなど、
できはしない。


カタチ持つものの限界。


しかし、
ボクはコトバを遣う。

痛みを残す。
平面に立体を建てる。


ボクのコトバは、
平面から突き出すカタチで、
目から心に入り込む痛み。


そうあるように、
絶えず苦しむ。


やがて自分の突き出た想いが、
誰かの目を突き刺して、
心をわしづかみにして、

その誰かが、
自分の内から出る声に、
心を震わす時をみつめる。


〜2008.1106〜


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43.『鈍い痛み。』

鈍い痛みだ。

ボクの踵(かかと)に潜むのは。

考え果てて、
心が疲れると、
重い安堵にも包まれる不思議。


力が抜ける。

圧迫感からの解放は、
楕円のような曲線を描いて、
3周したら、逆を向く。

その繰り返しは
少しずつ支点をずらし、
平面からの脱却を企てる。

いつだって。


ひとつところに、
とどまるものかと、
さらに踵をはねあげる。


つま先に力を入れると、
宙に浮く踵は、
あし首と歩調をあわせて、
過ぎた自分の時をまとめる。


淡々とした作業にも、
感動は宿る。


今日もこれだけ痛み、歩いた。


肉の内から、
解放の褒美が、
自分の外へと、広がる。


ならば、


奏でよう。


誰もが通ってはいるが、
まだ誰も踏んでいない先の轍を。


伸びた背筋は、
かつての誓いの証。

両手を広げて、
迎え入れるのは、
ただならぬ自分。


いつか夢見た、
そして、
今もなおその夢を抱く、

青い空の自分なのだから。


〜2008.1110〜


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44.『必要な重み。』

必要な重みというもが、
この世界にはあるものだ。

抱き上げた子供の重み。
食欲が満ちた際の重み。
両足で支える自分の重み。

そして、

あなたに対する、
この気持ちの重みも。


ふと、

軽さに気づく。


急に寂しさで、動けなくなる。


そんないたずらな生き方も、


仕組まれた世界の
流れのひとつなのだろうか?


ふと出るため息が、
心臓にふれて、
そこでも、
生きている実感にひたる。

確かにみごとに、
構成されているまとまり。

球体の、
隠れた事実が作り上げる、
おしきせのない美学。


その投影で
惹かれる月は、
今日は満ち足りて、
青い時を撒く。


これからだ。


何もかも。


過去に積み上げて、
そのカタチを整えることは、
いつでも出来る。


ゆるくまとまった世界の糸は、
誰もがそれを
締め直す機会をもつ。


だから。


ボクらは、
ともに引き合う引力を
いつもたずさえている。


〜2008.1113〜


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45.『ボクは見ている。』

ボクは見ている。
君の涙を。

どんな時に、どれだけ、
ほほを伝わり落ちるのか。


ボクは見ている。
君の笑顔を。

どんな時に、どういうふうに、
クチもとが揺れるのか。


ボクは見ている。
君の憤りを。

どんな時に、どう、
こぶしが固く震えるのか。


いつだって、
離れた街からそばにいて、
君の呼吸を感じながら、
君のその手を通り抜け、
透き通るボクの手で、
君の心をつかんでいたい。

君を守るということ。


それは、
ボク自身が、
ボクでいて、

ボクが痛みを知るてだての、
大切なひとつ。


そして、
闇にまぎれた喜びを、
君と分け合うたくらみに、
互いの胸をふくらます道筋で、
やがての君を迎え入れる準備。


だからボクは、
千の目を持つ。


そして
ひとつだけ、
コトバを用意する。


届け、君に。


〜2008.1117〜


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